システム開発の費用相場は?見積もりの見方と費用を抑える方法を解説

ホワイトボードの図とスケジュールを見ながら、システム開発の進め方を相談する経営者とエンジニア

システム開発の費用は、ほとんどが「何人が何か月かかるか(人月)× 1人月あたりの単価」で決まります。つまり、費用を左右するのは「どれだけの作業が必要か」です。同じ「在庫管理システム」でも、機能や条件しだいで金額は数倍変わります。

公開されている取引データでは、システムの開発費の中央値は種類によって約184万〜321万円という集計がある一方、業務支援システムやWebシステムでは1,000万円を超える案件も8%あります(PRONIアイミツ、2026年6月更新)。相場の数字だけを見ても、自社の金額はわかりません。この記事では、費用の決まり方、公開データの相場、見積書の読み方、費用を抑える方法、公開後の保守費用までを、発注する会社の目線で解説します。

なお、この記事の数字は、2026年10月31日に確認した公開資料によるものです。それぞれの数字の横に出典と発行時期を書いています。

目次

システム開発の費用は、どうやって決まる?

システム開発の費用の大部分は、エンジニアの作業代(人件費)です。そのため、多くの開発会社は「必要な作業量(人月)」に「1人月あたりの単価」をかけて見積もります。これに、サーバーや外部サービスの利用料などが加わります。

「人月(にんげつ)」とは、1人が1か月働いたときの作業量の単位です。2人で3か月かかる作業なら6人月、3人で2か月でも6人月です。見積もりの金額は、この人月の数と単価で、おおよそ説明できます。

人月単価の目安は?

人月単価は、開発会社の規模や担当者の経験、地域によって変わります。公開されている調査では、次のような数字があります。

  • 開発の総費用と工数の関係から、人月単価は127万円が妥当とする分析(日本情報システム・ユーザー協会[JUAS]「ソフトウェア・メトリクス調査2025」2025年4月。単価が50万〜400万円の195件が対象)
  • 外部に発注したスクラッチ開発(一からつくる開発)99件の加重平均単価は96万円(同調査)

この調査は、情報システム部門を持つ企業のプロジェクトが中心で、100人月を超える大きな開発も多く含まれます。10人月未満の小さな開発はわずかしかないため、小さなシステムの単価の目安としては参考程度に見てください。

工程ごとの内訳は?

システム開発は、大きく「要件定義 → 設計 → 開発(プログラムをつくる)→ テスト」の順に進みます。プログラムを書く作業は全体の3割ほどで、残りは「何をつくるか決める」「確かめる」作業です。

  • 要件定義:何をつくるか、どんな条件で使うかを決める
  • 設計:画面やデータの持ち方、処理の流れを決める
  • 開発(製作):プログラムを書く
  • テスト:決めたとおりに動くか、間違いがないかを確かめる

工数(作業量)の比率は、公開データで次のようになっています。

  • 要件定義:設計〜結合テスト:総合テスト = 15:60:25(JUAS「ソフトウェア・メトリクス調査2025」2025年4月)
  • 新規開発で、基本設計から総合テストまでの工数の比率(中央値)は、基本設計16.5%、詳細設計15.7%、製作31.6%、結合テスト20.1%、総合テスト11.9%(情報処理推進機構[IPA]「ソフトウェア開発分析データ集2022」2022年9月発行。2016〜2021年度の270件)

見積書の工程ごとの金額が、この比率から大きく外れているときは、理由を聞いてみるとよいでしょう。たとえばテストの費用がほとんど入っていない見積もりは、安く見えても、公開後に不具合の対応で費用がかかることがあります。

システム開発の費用相場はどれくらい?

公開されている取引データでは、システムの開発費の中央値は、種類によって約184万〜321万円という集計があります。ただし、案件ごとの幅がとても大きいため、「自社の場合はいくらか」は見積もりを取らないとわかりません。

ビジネスマッチングサービスのPRONIアイミツは、自社が持つ実際の取引データから、次のように集計しています(「システム開発の費用相場は?」2026年6月15日更新)。

  • 基幹システム(生産管理・販売管理・在庫管理・受注管理など):平均 約542万円、中央値 約321万円
  • 業務支援システム(顧客管理・プロジェクト管理など):平均 約361万円、中央値 約184万円。100万〜299万円の案件が35%で最も多く、1,000万円を超える案件も8%
  • Webシステム(EC・予約システム・CMSなど):平均 約389万円、中央値 約203万円。100万〜299万円の案件が37%で最も多く、1,000万円を超える案件も8%

このページには、集計した件数や期間は書かれていません。また、平均が中央値より大きいのは、一部の高額な案件が平均を引き上げているためです。「よくある金額」を知りたいときは、平均より中央値を見るほうが実態に近くなります。

私たちZenJunは、自社の料金をサイトに載せていません。同じ「予約システム」でも、つくる範囲によって費用が大きく変わるため、ご要望を伺ってから個別にお見積もりしています。

費用が上がる・下がるのは、どんなとき?

費用を大きく左右するのは、機能の数よりも「業務の複雑さ」と「条件の多さ」です。画面の数が同じでも、例外の多い業務や、ほかのシステムとのつなぎこみがあると、作業量は増えます。

費用が上がりやすいのは、次のようなときです。

  • 例外やルールが多い:「この取引先だけ締め日が違う」「この商品だけ計算方法が違う」など
  • ほかのシステムとつなぐ:会計ソフト、在庫システム、LINEなどとのデータのやり取り
  • 使う人が多い・権限を分ける:部署ごとに見られる情報を変える、承認の段階を設ける
  • 今のデータを移す:Excelや古いシステムのデータを、新しいシステムに整えて移す
  • 納期が短い:人を増やして並行で進めるため、確認の手間も増える
  • 要件が決まっていない:途中で仕様が変わると、つくり直しの作業が発生する

反対に、費用が下がりやすいのは、つくる範囲が絞れているとき、既製のサービスで代わりにできる部分が多いとき、社内で確認や判断をする担当者がはっきりしているときです。最後の点は見落とされがちですが、確認の返事が早いだけで、待ち時間やつくり直しが減ります。

見積書は、どこを見ればいい?

見積書は、合計金額より先に「何が含まれていて、何が含まれていないか」を見ます。安い見積もりが、必要な作業が抜けているだけ、ということもあるからです。

「一式」の中身は書かれているか

「システム開発 一式 〇〇円」とだけ書かれた見積書では、何にいくらかかっているのかがわかりません。工程ごと(要件定義・設計・開発・テスト)や、機能ごとの内訳を出してもらいましょう。

内訳があれば、予算に合わないときに「この機能は後回しにする」と、範囲を調整する話がしやすくなります。

人月と単価が書かれているか

内訳に「〇人月 × 単価」が書かれていれば、どの作業にどれだけの手間を見込んでいるかがわかります。複数の会社を比べるときも、「単価が違うのか」「見込んでいる作業量が違うのか」を分けて考えられます。

単価が安くても、作業量を多く見込んでいれば合計は高くなります。逆に、作業量が極端に少ない見積もりは、あとで追加費用になることもあります。

前提条件を読む

見積書の「前提条件」には、その金額で引き受けられる条件が書かれています。ここを読まずに発注すると、「それは前提に入っていません」と追加費用になることがあります。

よく書かれる前提条件には、次のようなものがあります。

  • 対応する端末やブラウザ(パソコンだけか、スマホにも対応するか)
  • 想定する利用人数やデータの量
  • 発注側が用意するもの(データ、文章、画像、確認の担当者など)
  • 仕様の変更や追加を、どこまで金額に含むか
  • 打ち合わせの回数や、修正のやり取りの回数

含まれないものを確認する

見積もりに入っていないことが多いのは、次のような費用です。発注前に「これは含まれていますか」と聞いておくと安心です。

  • サーバーやクラウド、外部サービスの月額利用料
  • 今のデータの移行
  • 操作説明やマニュアルづくり
  • 公開後の保守(不具合の対応、更新作業)
  • ドメイン、メール配信、地図、決済などの外部サービスの費用
  • スマホアプリの場合は、ストアへの登録や審査の対応

複数の会社を比べるときの注意

相見積もりをするときは、どの会社にも同じ資料と同じ条件を伝えます。条件がそろっていないと、金額の違いが「つくる範囲の違い」なのか「会社の違い」なのか、判断できません。

また、契約の形でも見積もりの書き方は変わります。完成したシステムを納める「請負契約」なら固定の金額、作業に対して支払う「準委任契約」なら月ごとの金額や作業時間で示されることが多いです。形が違う見積もりは、そのまま金額だけで比べないようにしましょう。契約の形の違いは「請負と準委任の違い」で詳しく解説しています。

見積もりを頼む前に、何を準備すればいい?

完ぺきな仕様書は要りません。「今の仕事の流れ」と「困っていること」が伝われば、開発会社は必要な機能を一緒に整理できます。準備があるほど、見積もりの精度は上がり、会社ごとの差も小さくなります。

用意しておくとよいものは、次のとおりです。

  • 今の仕事の流れ:誰が、何を見て、どこに入力しているか(紙のメモでも十分)
  • 困っていること:時間がかかっている作業、ミスが起きている作業
  • 今使っている表や書類の見本:Excelのファイル、注文書、帳票など
  • 必ずほしい機能と、あるとよい機能の区別
  • 予算の上限と、使い始めたい時期

予算は伝えにくいかもしれませんが、上限がわかると、開発会社は「その予算で、どこまでつくるか」を提案できます。

システム開発の費用を抑えるには?

費用を抑えるいちばんの方法は、「最初につくる範囲を小さくする」ことです。単価を下げるより、つくる量を減らすほうが、品質を落とさずに費用を下げられます。

小さくつくって、使いながら育てる

最初から全部の機能をつくらず、いちばん困っている作業に絞った版をつくって、実際に使ってみます。使ってみると、「この機能は要らなかった」「本当に必要なのはこれだった」とわかることがよくあります。

ZenJunでも、必要な機能に絞った最初の版をつくって効果を確かめる「試作(小さく始める)」のプランを用意しています。試作で手応えがあれば、受託開発で本格的につくる、という進め方ができます。

既製のサービスと組み合わせる

勤怠、会計、予約受付など、多くの会社で同じ形の仕事には、月額で使える既製のサービスがあります。すべてを一からつくらず、既製のサービスで足りる部分はそれを使い、自社に合わない部分だけをつくると、費用も期間も抑えられます。

既製のサービス同士をつなぐだけで解決することもあります。たとえば「メールで届いた注文を表に書き込む」といった作業は、n8nのような自動化ツールでつくれる場合があります。私たちも、市販のツールで足りるときは、そちらをおすすめしています。

要件に優先順位をつける

ほしい機能を「なくては困る」「あると便利」「いつか」の3つに分けます。最初の版は「なくては困る」だけでつくり、残りは使いながら追加します。

この分け方をしておくと、見積もりが予算を超えたときにも、どこを後回しにするかをすぐに決められます。

削ってはいけないもの

費用を抑えたいときでも、要件定義とテストは削らないほうが安全です。何をつくるかがあいまいなまま進めると、途中のつくり直しで、かえって費用が増えます。テストを減らすと、公開後に不具合の対応が増えます。

公開後の保守費用は、どれくらいかかる?

システムは、公開したら終わりではありません。公開後も、サーバーの利用料や、不具合の対応、セキュリティの更新などの費用が毎月・毎年かかります。保守の費用は、守る範囲と対応の早さで大きく変わるため、開発費と一緒に見積もってもらうのが確実です。

保守に含まれることが多いのは、次のような作業です。

  • サーバーやクラウドの管理と、その利用料
  • 不具合の調査と修正
  • OSや部品(ライブラリ)の更新、セキュリティ対策
  • 使い方の問い合わせへの対応
  • 小さな修正や機能の追加

保守の契約には、毎月決まった金額で一定の範囲を対応する形と、頼んだ作業のたびに支払う形があります。どこまでが月額に含まれ、どこからが追加費用になるのかを、契約の前に確認しておきましょう。

開発会社を比べるときは、開発費だけでなく、保守を含めた数年分の合計で比べるのがおすすめです。開発費が安くても、保守の費用が高ければ、合計では逆転することがあります。

ZenJunでは、公開後の保守や機能の追加を月額で続ける「月額の開発・改善サポート」(準委任契約)を用意しています。ほかの会社がつくったシステムの保守も、ソースコードや今の構成を確認したうえでご相談いただけます。

よくある質問

同じ内容なのに、会社によって見積もりが大きく違うのはなぜ?

おもな理由は、見込んでいる作業量と単価が違うこと、そして前提条件が違うことです。テストや保守をどこまで含むか、データの移行を誰がするかなど、前提がそろっていないと金額は大きく変わります。金額だけでなく、内訳と前提条件を並べて比べてみてください。

何をつくりたいか、まだはっきりしていなくても見積もりは頼める?

頼めます。ただし、内容が決まっていない段階の見積もりは、幅のある「概算」になります。困っていることを伝えて、必要な機能を一緒に整理してもらい、範囲が決まってから正式な見積もりを出してもらう流れが一般的です。

予算が少なくても、システム開発はできる?

範囲を絞れば、できることはあります。いちばん困っている作業だけをつくる、既製のサービスと組み合わせる、といった方法で、予算に合わせた進め方を相談してみてください。

まとめ

システム開発の費用は、「人月 × 人月単価」でほぼ決まります。公開データでは、人月単価は96万〜127万円(JUAS、2025年4月)、システムの開発費の中央値は種類によって約184万〜321万円(PRONIアイミツ、2026年6月更新)という集計がありますが、案件ごとの幅はとても大きく、自社の金額は見積もりを取ってはじめてわかります。

見積書を受け取ったら、次の点を確認しましょう。

  • 「一式」ではなく、工程ごと・機能ごとの内訳があるか
  • 人月と単価が書かれているか
  • 前提条件と、含まれないものは何か
  • 公開後の保守の費用と範囲

費用を抑えたいときは、最初につくる範囲を小さくし、既製のサービスと組み合わせ、要件に優先順位をつけることが近道です。ZenJunのシステム開発では、何をつくるかの整理から、試作、受託開発、公開後の保守まで、エンジニアの代表が一貫して担当しています。「まだ何をつくるか決まっていない」という段階からご相談ください。

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